◆悪天候が示唆する明暗
今大会、無敗で勝ち点を積み重ね、得失点差で首位を併走しているルーマニアとオランダ。
グループGの首位対決は、ルーマニアがホームにオランダを迎える戦いとなりました。
これまで、ルーマニアとオランダの対決は、8戦して、ルーマニアの2分6敗。
なんとルーマニアはオランダに勝ったことがありません。
さらに、2000年の欧州選手権を最後に、大舞台への出場もなくなっており、今大会にかける意気込みが、好調を維持していると云っても過言ではないでしょう。
この日の試合会場は、ルーマニアのファルル - コンスタンタ。
国内最大の港町は、激しい風と雨が吹きつけ、この先に両者を待ち受ける厳しい戦いを示唆しているかのようでした。
その激しさは、画面を通じて、動いていない選手のユニフォームが風に煽られて揺れている様子がハッキリと確認できるほど。
この試合オランダは、DFメルヒオット、MFスナイデル、FWファン・ペルシが出場停止。
さらにGKファン・デル・サール、FWカイトもけがでメンバーから外れ、オランダにとっては厳しい戦いが予想されました。
◆打つ手を探る序盤
前半は、ルーマニアが風上、オランダが風下というポジションになりました。
立ち上がりは、どちらも風の影響を掴みきれず、やや消極的な状態でのボール支配が続きます。
風下に立ったオランダは、前線にパスをいれようとすると、風で押し戻される格好。
反対に風上のルーマニアは、パスが風に乗って、距離、スピードともに普段以上の勢いをもってしまい、前線の裏どころか、相手GKまで直接届いてしまうような状態。
こう着状態に変化が見られ始めたのが前半の25分を経過したころから。
オランダは、この日、今大会で初めてのスタメン出場となったセードルフが、積極的に攻撃の基点となって働き、
少し離れたところからシュートを放つなど、徐々にルーマニアのゴールを脅かし始めます。
対するルーマニアも、カウンター狙いのパスが全くと云って良いほど上手く行かず、攻めあぐねていました。
少ないチャンスを大事にしていたルーマニアは、39分にFKのチャンスを得て、これをキブが蹴りますが惜しくもポストの外。
その後、オランダは、ファンデルファールトのコーナーキックをボウマが頭で合わせるものの、クロスバーに当たってしまいゴールには至らず。
リズムを掴みつつも、ゴールを決めることが出来ず、両チームとも無得点で前半を終えました。
◆歴史的快挙へ
サイドが変わった後半、激しい中盤の攻防が続くも、風下に立ったルーマニアが、徐々にペースを掴みはじめ、試合を支配して行きます。
一方のオランダは、攻め切れない苛立ちからか、ファンニステルローイとマタイセンが64分、66分と、続けざまにイエローカードを受けてしまいました。
そして迎えた71分。
キブのフリーキックから、ゴール前でディフェンダーの間を抜けたコドレアがヘディングでコースを変えるシュート。
これをステケレンブルフが左腕一本で懸命にはじき返しますが、ゴール前に詰めていたルーマニアのゴイアンが冷静にゴールへ押し込み、貴重な1点をもぎ取りました。
このあと、オランダも必死の攻撃を繰り返し、終了間際には、セードルフのフリーキックがあわやゴールというシーンもありましたが、これはルーマニアGKロボントの好セーブで凌ぎました。
そして試合はそのまま終了し、グループGはルーマニアが直接対決に勝利。
勝ち点を23とし、本大会出場に向け、大きな一歩前進となりました。
加えて、これまで勝ったことのなかったオランダから、歴史に残る大勝利を収めました。
□雑感
ルーマニア、強いです。
若干守備重視のフォーメーションですが、今年3月に行われたオランダ戦以外で全て得点しているように決定力も安定しています。
今回は、強風と雨が吹き付ける最悪なコンディションだったので、天候が違っていたら結果も違っていたかもしれないように思いました。
もっとも、今回のファルルという場所を選んだのは、ルーマニアサッカー協会の戦略だったようで、
今回ルーマニアサッカー協会が、わざわざ地方都市のコンスタンツァでの試合を決めた理由はいくつか説がある。例えば、前回ブカレストでいい結果を残せなかったための験担ぎ。あるいはオランダのパスサッカーを封じるため、ピッチ条件の劣るスタジアムを選んだ。ブカレストではステアウア、ラピド、ディナモのサポーターでバラバラになる……などである。
国を挙げての勝利といったところでしょうか。
ただ残念だったのは、後半の、それも終了に近い時間帯で、ルーマニアのイエローカードが多発してしまったこと。
試合を通じて、都合5枚ものイエローカードが出されました。 しかも全てが71分の得点以降。
明らかな時間稼ぎが観られました。 確かに歴史的な勝利を目前にしたら、仕方の無いことだとは思います。
けれども、まだ本大会出場が決まったわけじゃなく、しかも熾烈な争いを繰り広げているグループなので、
このイエロー多発がこの先の試合に影響を及ぼしかねないかもしれません。
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